故ヨハネ・パウロ2世の登位前の半生を描いた映画の上映会が、19日夕、教皇ベネディクト16世の出席のもと行われた。
上映されたのはポーランド・イタリア共同制作のTV用作品「カロル、教皇となった男」(ジャコモ・バッティアート監督、ジャン・フランコ・スヴィデルコスキ原作)。バチカンのパウロ6世ホールで行われた上映会には、制作スタッフやバチカン関係者も多数出席、故教皇の85歳の誕生日を記念して作られた作品に感慨をもって見入った。
作品ストーリーは、若き日のカロル・ボイティーワ(後の教皇ヨハネ・パウロ2世)のナチス・ドイツ占領下のポーランドにおける苦しみと困難に満ちた学生時代から始まり、やがて訪れる司祭職への召命、終戦後の共産主義体制の圧迫の中で人々に愛と希望を伝え続ける司教、枢機卿としての姿、そしてコンクラーベにおける教皇選出までが描かれる。
教皇ベネディクト16世は、上映後の挨拶で、ナチス・ドイツがポーランドはじめ欧州全体でおかした極悪冷酷な犯罪と悪のイデオロギーの横行は、「歴史の中で決して繰り返されてはならない非人間的で残忍な出来事」であり、人間の尊厳を蹂躙する暴力の恐ろしさを、記憶を風化させることなく若い世代に伝えていかなければならないと述べられた。
ナチス政権から深い傷と苦しみを与えられたポーランド出身の教皇の後継者に、ドイツ出身のご自分が選ばれたことに神の摂理の光を感じると語られた教皇は、第二バチカン公会議中、ポーランド司教団からドイツ司教団に渡された互いの「赦しと和解」を呼びかける手紙を忘れることはできないと話された。
そして故教皇が繰り返し説かれた「赦しの上に和解と平和が築かれる」という教えを胸に、一人ひとりがそれぞれの方法で平和の行為を実践していくことができるよう、平和の女王マリアに祈られた。
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