フィリピンのカトリック教会の精神的支柱であり、同国の民主化に大きな役割を果たしたハイメ・シン枢機卿が、21日早朝、首都圏の病院で逝去した。76歳であった。偉大な司牧者の死に同国の教会は喪に服した。
シン枢機卿は、1928年、パナイ島アクラン州ニュー・ワシントンの生まれ。54年司祭叙階。67年司教叙階。74年よりマニラ大司教(2003年現職引退)。76年に、教皇パウロ6世より枢機卿に任命された。
教会の力強い声としてフィリピンのカトリック信者を導き続けた同枢機卿は、福音的立場から社会の汚職や不正を訴え、86年のマルコス政権退陣や、2001年のエストラーダ政権崩壊に影響を与えた。命と人権の擁護を訴え、貧富の差の拡大に警告を鳴らし、弱く貧しい者の立場が尊重される社会の構築を説いた。
今年4月の教皇ヨハネ・パウロ2世の葬儀と続くコンクラーベには、健康上の理由で出席することができなかった。
シン枢機卿の逝去により、カトリック教会の全枢機卿数は181人、うちコンクラーベの投票権を持つ80歳未満の枢機卿数は115人となった。
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