教皇ベネディクト16世は、ケルン司牧訪問2日目を迎えた19日午前、大統領への表敬訪問とシナゴーグでのユダヤ教関係者との出会いを行われた。
ケーラー大統領との会見はボンのヴィラ・ハンマーシュミットで行われた。教皇は大統領と個人会談を持たれたほか、大統領の家族やドイツ政府関係者の紹介を受けられた。
続いて教皇はケルン市内のシナゴーグに向われた。
ケルンのユダヤ教共同体は、ドイツ国内はもとよりアルプス以北のヨーロッパで最も古い歴史を持つ。1933年、ケルンにはおよそ2万人のユダヤ教徒がいたが、ナチスによって1万1千人以上が殺害された。シナゴーグは1938年に破壊されたが1959年にキリスト教共同体の援助と共に再建された。
今回ベネディクト16世はドイツ人教皇として初めてユダヤ聖堂を訪問することになった。
シナゴーグに到着された教皇は、合唱の調べによって迎えられた。詩編の朗読に続き、角笛が吹かれ、共同体の代表者とラビの挨拶が続いた。
教皇は共同体への挨拶を「あなたがたに平和」という言葉で始められ、故教皇ヨハネ・パウロ2世が進めてきたユダヤ教関係者との友情の歩みを続けたいと述べられた。
教皇はケルンのユダヤ教共同体の古い起源に触れると共に、ユダヤ教とキリスト教の両共同体の関係の歴史が決して平坦ではなく、時に複雑で痛みに満ちたものであったことに言及。特に20世紀に訪れた最も暗い時代、ナチスの新異教的ともいえる狂気のイデオロギーがもたらした大虐殺は神の神聖を忘れ、人間の聖なる命を蹂躙したと述べられた。
今年、ナチスの強制収容所解放60年と、第2バチカン公会議の「キリスト教以外の諸宗教に対する教会の態度についての宣言」から40年を迎える今、すべての民族、文化、宗教間の平和と友好、すべての人間の人権を守るために、未来を見つめていっそう対話と協力を深めていきたいと強調された。
教皇の挨拶は参加者の温かい拍手でもって迎えられた。教皇は集いの終わりに共同体の代表者や、強制収容所の体験者らの手を握り、真摯に言葉を交わされた。
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