来年2006年度の「世界平和の日」に向けた教皇メッセージが発表された。
カトリック教会は、毎年1月1日を「世界平和の日」とし、戦争や分裂、憎しみや飢餓などのない平和な世界が来るように祈っている。
教皇ベネディクト16世の初めての世界平和の日メッセージのテーマは、「平和は真理の中に」。教皇は全16章からなる本文を通して、平和をもたらす「真理」とそれを妨げる「偽り」を対比させながら、平和の真理を福音に見出し、愛の掟に従って平和の構築を学ぶ必要を説いておられる。
冒頭で、世界中のすべての人々、中でも特に暴力や武装闘争に苦しむ人々に、より平和な世界への希望を祈られる教皇は、福音の使者として平和構築に心を砕いた先代教皇パウロ6世、ヨハネ・パウロ2世、そして第一次世界大戦を「無益な大虐殺」と非難し平和推進に尽力したベネディクト15世に従い、引き続く平和への奉仕の意欲を表明されている。
そして、どこにおいても真理の光に照らされる時、人はほとんど自然に平和への歩みを始めるとの確信をテーマに込められながら、ここで求められる「平和」とは単に戦争不在という意味に留まらず、「人間社会の創立者である神によって社会の中に刻み込まれた秩序の実り」であり、その秩序は「常により完全な正義を求める人間によって実現されるべきもの」(現代世界憲章78章)であるとする。すなわち平和は神の恵みであり、人間は神の秩序にあわせて歴史を形作る大きな責任を負っていると述べられている。
一方で、教皇は平和の実現を阻止するものを「偽り」であるとし、「創世記」にすでに表されているように、罪と結びついた「偽り」は、これまでの歴史の中で人間個人や国家において破壊的な影響を及ぼし続けてきたと指摘、真の平和追求は個々の人間における真理と偽りの問題を意識することから始める必要を説かれる。
平和を脅かすテロリズムを非難し、その根底にあるニヒリズムと狂信的原理主義の危険性を訴える教皇は、同時に世界各地で止むことのない流血の闘争を憂慮。国々の核兵器への依存や軍事費の拡大に大きな懸念を示され、非武装を再び訴える勇気と賢明さを国際共同体に訴えられると共に、正義・連帯・平和の推進者としての国連のさらなる役割に期待されている。
そして、最後に教皇は、キリストの福音の中に平和の真理を見出し、神の恵みである平和を求める祈りを深め、その真理を告げ証しするよう、すべての信者に強く呼びかけておられる。
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