主の降誕の大祝日を迎えた25日、教皇ベネディクト16世はバチカンから、降誕祭のメッセージと、「ウルビ・エト・オルビ」ローマと全世界に向けての祝福をおくられた。
ローマは小雨の中の降誕祭となったが、バチカンには朝から大勢の巡礼者が繰り出し、教皇の祝福が行われる正午頃には、聖ペトロ広場に入りきれない人々がコンチリアツィオーネ通りなど周辺の道にあふれた。
広場には巡礼者たちの色とりどりの傘の花に取り囲まれるようにツリーがそびえ、その隣、前日夕方に除幕式を終えた馬小屋の中では、幼子イエス像がまぐさおけの中で明るい輝きを放っていた。
聖ペトロ大聖堂の中央バルコニーの赤い緞帳が持ち上げられ、教皇が姿をお見せになると、イタリアの軍楽隊らの演奏に、人々の大歓声が重なり、広場全体は大きな喜びの空気に包まれた。
ベネディクト16世は、登位後初めてのクリスマス・メッセージで、「人間よ、目覚めよ。神はおまえのために人となられたのだから」という聖アウグスティヌスの言葉を引用され、ベツレヘムの馬小屋に貧しい幼子となって生まれた救い主を迎え入れ、その愛と光に勇気と信頼を持って委ねるよう、第三千年期を生きるすべての人々に呼びかけられた。
教皇は、特にここ数世紀の科学技術の大きな発展と物質的豊かさを示されつつも、発達した技術の時代、人間はかえってその知識と効率の犠牲となり、霊的な消耗、魂の空洞化の危険にさらされていると指摘、そのためにもすべての人類に新たな希望をもたらす救いの出来事、キリストの降誕の神秘に心を開くことの大切さを説かれた。
そして、現在人類が直面している問題としてテロリズム、貧困、武器の拡散、疾病の蔓延、環境破壊など、さらに地域別の課題としてダルフールをはじめとするアフリカでの政治の安定と基本的人権の尊重、ラテンアメリカ、また聖地・イラク・レバノンなど中東における平和と和解、朝鮮半島はじめアジア諸国での対話の推進などを挙げられた教皇は、人となられた神の愛が人々の働きを支え励ますことを祈られた。
メッセージの後、教皇は微笑を交え、時に歓声に手を上げて応えながら、イタリア語に始まる33カ国の言語で挨拶をおくられ、日本語では「クリスマスと新年おめでとうございます」と述べられた。
そして、最後にラテン語で再び前述の聖アウグスティヌスの言葉を用い呼びかけられた教皇は、ローマと全世界に向けて祝福をおくられた。
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