教皇ベネディクト16世は、29日、日曜正午のアンジェラスの祈りの集いを持たれた。
この日はイタリア全土を覆っていた厳しい寒波も一段落し、不安定な空模様とはいえ、暖かい休日となった。集いの会場となったバチカンの聖ペトロ広場には、「平和の月」である1月の締めくくりとして、毎年のようにイタリアのカトリック・アクション少年部の子どもたち数千人が詰め掛け、歓声を響かせた。
教皇は祈りの前の説教で、先日発布された回勅でキリスト者と教会の生活の一番大切なものとしての愛(カリタス)を説く中で、その愛の証し人である聖人たちの存在に触れたことを紹介された。
その例として、ここ数日の典礼の中で記念される聖人たち、使徒パウロとその弟子テモテとテトス、アンジェラ・メリチ、トマス・アクイナス、ヨハネ・ボスコらを挙げられ、それぞれ違う時代、立場、賜物の中で活躍したこれらの聖人たちを思い起こされた。
「教会の歴史は、神を源とする唯一の愛に生かされた聖性の歴史」であると説かれた教皇は、愛の学校としての奉献生活を示した多くの修道会の創立者たちをも振り返られ、来る2月2日の「主の奉献」の祝日に「奉献生活者の日」のミサをとり行うことを告げられた。
後半、巡礼者への挨拶で教皇は、この日はジャーナリスト・詩人でハンセン病患者の友、ラウル・フォルロー(1903−1977)が50年前に開始した「世界ハンセン病者の日」であることを思い起こされ、ハンセン病の患者、また医療関係者・宣教者・ボランティアの人々に励ましをおくられた。そして、ハンセン病は「貧困」というさらに重大で拡大する病理の現れであるとし、未だ人類を苦しめる大きな不均衡の問題を克服するよう各国の責任者らにアピールされた。
また、前日ポーランド・カトウィツェの見本市会場の屋根が崩落し大勢の死者を出した事故に心を痛められた教皇は、犠牲者を神の憐れみに委ねると共に、その家族や負傷者たちのために祈られた。
教皇は最後に会場のカトリック・アクションの少年少女らに「偉大なコーチ、イエスについて、平和の訓練に励んでください。常に真理を語ることを学び、平和の建設者となってください」と励ましをおくられ、代表の2人の子どもたちと共に教皇宮殿の窓辺から、平和の象徴として2羽の白い鳩を放たれた。
![]() |
|||
|