教皇庁移動・移住者司牧評議会は、28日、「ジプシーの司牧のための指針書」を発表した。
同指針書は、歴史の中でたびたび迫害を受け、文化的な無理解を原因に、差別と先入観をもって扱われる傾向にあったジプシーに対する教会の福音宣教のあり方を示すもので、宣教的、人権的観点をふまえ、ジプシーの司牧にあたる上での特殊な問題点や必要性に答えている。
2001年より構想が練られていたこの指針書は、その複雑さゆえに、完成まで長い期間を要した。その作成には、ジプシーの司牧経験者や専門家のほか、ジプシーの人々自身の協力も得ることとなった。
6章からなる本文の内容は、ジプシーに関する基礎知識、教会とジプシーの関係、インカルチェレーションと福音宣教、人権・市民権的課題などが考察される前半と、実際の司牧問題に具体的に触れる後半とに分けられる。
この指針書の発表にあたり、同評議会議長、濱尾文郎枢機卿は、ジプシーにとっての「アイデンティティーへの権利」を強調、前教皇ヨハネ・パウロ2世が様々な機会を通し、ジプシーをはじめとする社会の少数派に対する理解と尊重を訴えておられたことを思い起こした。
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