教皇ベネディクト16世は、6日夕、バチカンの聖ペトロ広場で開かれた若者たちの集会に出席、参加者らと信仰をめぐる誠実な対話を持たれた。
教皇を囲むこの出会いは、来る9日、受難の主日に記念される世界青年の日(教区レベル)の精神的準備として、ローマ教区が若い信者たちに広く呼びかけたもので、ローマやラツィオ州から大勢の青年たちが参加した。教皇到着前の広場は、歌や演奏やダンスが披露され、会場を活気付けた。
大聖堂前の席に着かれた教皇は、十字のしるしを持って集いを始められた。ローマ教区教皇代理司教のカミッロ・ルイーニ枢機卿と青年代表の挨拶に続き、1984年の贖いの年にヨハネ・パウロ2世から青年たちに託された十字架と、2004年のロザリオの年に同じく託された聖母画「サルス・ポプリ・ロマーニ(ローマ人の救い)」が入場した。
会場には今年2月、トルコで殉教したローマ教区司祭アンドレア・サントーロ神父の母と姉の姿があった。サントーロ神父の姉は、「私は皆の司祭だと感じる。彼らは皆、神の愛する息子たちだから。神はイスラム教徒も、ユダヤ教徒も、キリスト教徒も愛され、この愛が我々の目を導く」という同神父が死の数日前に語った言葉を紹介。教皇はその言葉にじっと聞き入り、サントーロ神父の母と姉を静かに抱擁された。
この集いで教皇は若者たちの代表5人の信仰をめぐる質問に耳を傾けられた。
これらの質問は、「み言葉に触れたいが聖書をどうしたら自分の生活に密着したものとして読むことができるか」、「個人主義と世俗化が進む世の中で男女間の愛情を責任を持って生きるにはどうしたらよいか」、「若者たちは現代の新しい使徒として何を期待されているのか」、「修道生活や司祭生活への召し出しなど、それが自分に正しい道かどうかを知るにはどうしたらよいか」、「真理の追求の中で信仰と科学を調和させるにはどうすべきか」というもので、教皇は若者たちの問いの一つひとつに、原稿を用いることなく、誠実で率直な回答をされた。
教皇はたとえば聖書の読み方を尋ねた青年に対して、聖書を読むことは神との対話であり、「あなたのみ言葉がわかるように助けてください」と祈りながら読むこと、また聖書は神の家族の交わりへと導くものであるから、信仰の道を共に歩む人々、特に聖書の霊的読書の師たちの助けを借りより深くみ言葉を理解することが大切と述べられた。
また、自分の召命を見極めるにはという質問をした大学生には、ナチ政権が「新しいドイツにはもう司祭や修道者といった人たちはいらない。別の仕事を探すべきだ」と声高に言っていた時、非人間的な体制の中でこそ、むしろ司祭が必要だという思いを深めたという、ご自分の召命体験を紹介。それぞれが置かれた状況の中で神の自分に対する働きかけに注意し、自分の適性をも見極めつつ、主が自分に何を望んでおられるのか考えるよう招かれた。
教皇は集いの最後に、若者たちの代表のグループと聖ペトロ大聖堂の地下に降り、ヨハネ・パウロ2世の墓前で共に祈られた。
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