教皇、アウシュビッツ訪問
深い沈黙の中の祈り
(2006.5.29)

 

 ポーランド訪問中の教皇ベネディクト16世は、28日、アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所で祈りを捧げられた。

 同国での滞在日程の最後に、教皇は強く希望されていたこの訪問を行なわれた。

 アウシュビッツ強制収容所に到着された教皇は随行団から離れて一人で歩まれながら、「働けば自由になる」という言葉が掲げられた収容所の門をくぐられた。

 収容所全体を深い沈黙が支配する中、教皇は「死のブロック」と呼ばれた11ブロックに進み、ここで生存者ら数人とお会いになり、一人ひとりに挨拶された。ナチスによって無数の収容者が銃殺された「死の壁」の前に立たれた教皇は頭を下げ、目を閉じて祈られた。

 同ブロックの地下には、一人の囚人の身代わりに餓死刑となることを願い出た聖マキシミリアノ・マリア・コルベ神父が亡くなった監房がある。餓死室を訪れた教皇はここでも深い祈りを捧げられた。

 続いて、教皇はアウシュビッツ強制収容所の近くにある「対話と祈りセンター」に向かわれた。

 同センターは1992年、当時のクラクフ大司教フランチスク・マカルスキ枢機卿の提唱のもと、フランスやベルギーのカトリック教会やユダヤ教諸団体代表者の協力によって創設された。ここでは、収容所の犠牲者を悼み、相互尊重と和解、平和の精神を養うことを目的に教育セミナーや祈りの集いを行なっている。

 教皇はセンターの関係者と、同所から程近いカルメル会女子修道院で祈りの生活をおくる12人の会員らに挨拶され、施設を祝別された。

 この後、教皇は、第2アウシュビッツとも呼ばれるビルケナウ収容所を訪問され、祈りの集いを持たれた。

 同収容所の国際犠牲者記念碑前の会場には、元収容者らをはじめ、世界のユダヤ教関係者や諸宗教の代表者らが臨席した。

 教皇は、強制収容所のすべての犠牲者を記憶する22の石版の前にたたずみ、ヘブライ語はじめ様々な言語で記されたその一つひとつに向かい、こうべをたれて祈られた。

 正教会・ユダヤ教・プロテスタントなどの代表者らがロム語、ロシア語、ポーランド語、ヘブライ語、英語で祈りを捧げ、ユダヤ教の死者を弔う祈りカディッシュが続いた。教皇は母国語のドイツ語で、「争いと暴力を求める心は平和そのものである神を理解できない、調和に生きる人々が平和に努力するよう、分裂した人々に和解があるように」と主に祈られた。

 集いの中の言葉で教皇は、恐怖の場所、神と人間に対する犯罪が積み重なったこの場所において、言葉をもって表現することの不可能さに触れ、特に「キリスト者であり、ドイツから来た教皇にとってはなおさら難しいこと」と話された。

 しかし、「ドイツの子」であるがゆえに、「ここに来ないことはできなかった。来なければならなかった」と述べた教皇は、それは「真理と、苦しんだすべての人々の権利のための、また神を前にした当然の義務」であると強調された。

 教皇は、ユダヤ人やポーランド人、ロム、ロシア人、そしてドイツ人など、すべての犠牲者たちの苦しみを思い起こしながら、これらの犠牲者は私たちを憎しみに向かわせるのではなく、むしろ憎しみの業がいかに恐ろしいものであるか、悪を悪として認め、悪を退け、善への勇気を持つことの正しさを教えてくれると述べ、歴史の過ちと人間の心に潜む悪への自覚を新たに、悪に打ち勝つ愛、和解の恵みを神に祈られた。

 祈りの集いは小雨の降る中行われたが、途中、突然の虹がかかり、七色の光を灰色の空に投げかけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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