教皇ベネディクト16世は、バチカンで7日、水曜恒例の一般謁見を行なわれた。
6月に入ってからも気温の低い日が続くローマだが、この朝も薄い雲がかかり涼しい風が吹く中の謁見となった。
謁見中のカテケーシス(教会の教えの解説)で、教皇は継続中のテーマ十二使徒の中から、前回に続き聖ペトロを取り上げて話された。
教皇は、ペトロとの最初の出会いでイエスは彼を見つめ「あなたはヨハネの子シモンだが、これからは『ケファ』(岩という意味)と呼ぶことにする」(ヨハネ1,42)と言ったことに注目。この他イエスはヤコブとヨハネ兄弟に「雷の子ら」という呼び名を付けた(マルコ3,17)ことはあるが、その後はその名を使用していないことからも、イエスは弟子の名前をめったに変えることはなかったと指摘され、「ケファ」(ギリシャ語でペトロス、ラテン語でペトルス)は単なる名ではなく、イエスからの「委託」の意味を持つと述べられた。
また、教皇は旧約聖書において名前を変えることはある使命を託されることの前触れである場合が多いこと(例:創世記17,5 同32,28など)を紹介されつつ、イエスがペトロの家に行ったこと(マルコ1,29)をはじめ、奇跡のすなどりでイエスはペトロの持ち舟を選んだこと(ルカ5,4)、またヤイロの娘(マルコ5,37、ルカ8,51)、主の変容(マルコ9,2、マタイ17,1、ルカ9,28)、ゲツセマネの祈り(マルコ14,33、マタイ26,37)などのエピソードにおけるペトロの立場、そして最後の晩餐でイエスが最初にペトロの足を洗っていること(ヨハネ13,6)など、イエスが使徒たちのグループの中でペトロに特別の役割を負わせていることを示された。
一方で、ペトロ自身もイエスご自身が投げかける重大な問いに「主よ、わたしたちは誰のところに行きましょうか。あなたは永遠の命の言葉を持っておられます」(ヨハネ6,67−69)、「あなたはメシア、生ける神の子です」(マタイ16,15−16)と弟子たちを代表して答えていることをも指摘。これに対してイエスが、「あなたはペトロ。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる。…わたしはあなたに天の国の鍵を授ける。…あなたが地上でつなぐことは、天上でもつながれる。あなたが地上で解くことは、天上でも解かれる」(マタイ16,18−19)という言葉を通し、ペトロの教会における役割をはっきりと定義している箇所を強調された。
空になったイエスの墓に最初に入る(ヨハネ20,4−6)など、イエスの復活後も続くペトロの役割の重要性を示しつつ、キリストとの交わりを守る彼の責任と、それを基礎としたキリスト者の一致を説かれた。
謁見中の巡礼者への挨拶で教皇は、先日祝った聖霊降臨を思い起こされ、聖霊に絶え間なく祈ることでキリストの勇敢な証人となるよう若者たちに呼びかけると共に、病者には苦しみの神秘を受け入れるために慰め主である聖霊の助けを得られるよう、新婚の人々には聖霊に支えられ福音にしっかりと基づく家庭を築けるよう祈られた。
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