教皇ベネディクト16世は、バチカンの聖ペトロ広場で21日、水曜恒例の一般謁見を行なわれた。
謁見中の教皇によるカテケーシス(教会の教えの解説)では、このところテーマとしているイエスの12使徒の中から、聖大ヤコブが取り上げられた。
ローマはこの日、朝から猛暑に見舞われ、炎天下の巡礼者たちを気遣われた教皇は、用意したカテケーシスの内容を多少要約してお話になった。
教皇は、ゼベタイの子で、ヨハネの兄弟である大ヤコブが、ペトロ、アンドレア、ヨハネと共に12使徒の中で特別な役割を果たしていたことを福音書の記述に読み取られながら、同聖人の登場する重要なエピソードとして、タボル山でのイエスの変容と、ゲツセマネでのイエスの苦悶を挙げられた。
タボル山のエピソードで、大ヤコブは主の栄光を見、ゲツセマネでは苦悶にあるイエスを見るが、メシアの真の姿を示す対照的なこの2つのエピソードでも、特に後者を通し、キリストの栄光は十字架のうちに実現されることを知り、彼は精神的に大きく成熟することになったと指摘された。
さらに、大ヤコブのその後として、教皇は使徒言行録(12、1−2)にある彼の殉教を告げる短い記述を示すと共に、彼がスペインで宣教したという伝承と、彼の遺骸がサンティアゴ・デ・コンポステラにもたらされたという言い伝えを紹介された。
聖大ヤコブの生き方から学ぶことは多いと述べられた教皇は、人間的な安定という舟を捨て、イエスの呼びかけに潔く従い、勇気を持って必要とあれば死をもいとわずイエスを証ししたその生涯を振り返られた。
そして、主の変容の山から主の苦悶の山に至る大ヤコブの心の歩みは、世の迫害と神の慰めの間を行くキリスト者の人生の巡礼のすべてを象徴していると説かれ、「ヤコブのようにイエスに従うことは、どんな困難にあっても正しい道であることを私たちは知っています」と信者たちに話しかけられた。
後半、教皇は巡礼者への挨拶で、教会暦で23日(金)に祝われるイエスの聖心の大祝日に触れられ、すべての人々が平安と喜びのうちに神の愛を知ることができるようにと祈られた。
また、この日記念された聖アロイジオ・ゴンザガ修道者を思い起こされた教皇は、信者たちが彼の模範によって福音的清さの価値を学び、十字架のキリストに慰めを見出しながら試練に立ち向かい、神へのより深い愛に導かれることができるよう、同聖人の取次ぎを求めて祈られた。
一般謁見後、教皇はドイツ・レーゲンスブルグの使節団とお会いになり、同市の名誉市民称号を受け取られた。
かつてレーゲンスブルグの大学で教義神学と教義史を教え、副学長も務められた教皇は、歴史と新しい活力が調和したこの町の魅力を語られる中で、教皇の兄ゲオルグ師が指揮者を務めていた同地の少年聖歌隊にも言及された。そして、9月に計画されているドイツ訪問でこのドナウの町と再会したいとの希望を述べられた。
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