バレンシアを司牧訪問中の教皇ベネディクト16世は、9日、第5回世界家庭大会の閉会ミサをとり行われた。
前夜祭から明けた日曜日、教皇ミサの会場となったバレンシア市の芸術と科学の町は、再び早朝から大群衆で埋まった。警察の推定によれば、会場と周辺を合わせてその数はおよそ100万と言われた。参加者の間には前夜祭の後、会場に泊まりこんだ人々の姿も多く見られた。
9日間にわたる大会を締めくくるこのミサで、教皇はバレンシア大聖堂に保管され、イエスが最後の晩餐に使ったと古くから言い伝えられる聖杯を使用された。ヨハネ・パウロ2世も1982年11月にバレンシアを訪問された際、司祭叙階式の中でこのカリスを用いられている。
説教で教皇は、世代間の継続、伝統という遺産を守るものとしての家族の役割と、その基礎となる男女間の結婚に焦点を当てられた。
人間は誰ひとりとして自らの力だけで自分に生を与え、ひとりで人生の最初の知識を獲得することはできない、と教皇は述べ、他人を通して生を受け、他人との愛情ある交わりの中に成長していく人間の姿を示された。
そして、男女間の解きがたい婚姻に基礎を置く家庭こそ、こうした親と子のまた共同体としての絆を表し、人が尊厳のうちに生まれ、育ち、自身を完成させていくことのできる場所であると説かれた。
また、信仰は単なる文化的遺産ではなく、わたしたちに呼びかける神の絶え間ない恵みの働きであるとされた教皇は、キリスト者の両親は信仰と希望の信じうる証となり、子どもたちに神の招きとキリストの福音がわかりやすい真の形をもって届くよう努力しなくてはならないと述べられた。
これまでも家庭の基礎となる男女間の解きがたい結婚を教会は尊重し推進してきたように、その価値を認め保護することは共通善と人と社会の真の発展に寄与する最高の奉仕の一つであると教皇は強調された。
後半のアンジェラスの祈り(お告げの祈り)で、教皇は世界各国から参加したボランティアの人々をはじめ、大会全関係者に心からの感謝を表すと共に、大会を祈りで支えた観想修道者たちや、すべての共同体にお礼を述べられた。
そして、次回2009年の世界家庭大会がメキシコ・シティーで開催されることを喜びを持って告げられた。
最後に、教皇はナザレの聖家族に世界中の家族を託して祈られ、祝福を送られた。
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