教皇ベネディクト16世は、16日、滞在先ヴァレ・ダオスタのレ・コンブの山荘で日曜正午の祈りを信者たちと共に唱えられた。
この集いで教皇は混迷を深める中東情勢に対話と平和を呼びかけるメッセージを出された。
教皇は世界に重大な不安を投げかけている聖地の状況、特にレバノンでの戦争行為の拡大と数多くの市民の犠牲に憂慮を表された。
このような冷酷な対立の源には、法と正義の侵害という客観的状況が存在するとしても、テロ行為にしろ、報復行為にしろ、市民に対する悲劇的な結果をもたらす行為を決して正当化することはできず、過去の苦い経験が示すように、こうした方法では前向きな結果に到達することはできないと、教皇は訴えられた。
この日はカルメル山の聖母を記念したことから、教皇は、地中海東部海岸、ちょうどガリラヤの横に位置し、自然の洞窟に恵まれたカルメル山が隠修士たちに好まれた場所であったこと、またこれら「神の人たち」の中でも偉大な預言者エリアは紀元前9世紀に唯一真の神における信仰を偶像崇拝の堕落から勇敢に守った人であったことを紹介。
さらに、エリアの生き方に啓発されて創立されたカルメル会がアビラの聖テレジア、十字架の聖ヨハネ、幼いイエスの聖テレジア、十字架の聖テレジア・ベネディクタ(エディット・シュタイン)などの優れた聖人を輩出し、カルメル山の聖母を祈りと観想、神への献身の模範としてきたことを説明され、カルメル会をはじめ世界に散らばるすべての観想修道会をカルメル山の女王に託して祈られた。
レバノンからほど近く、カルメル山がそびえるイスラエルのハイファもまたこのたびの闘争で攻撃を受けたことに言及された教皇は、責任を負う政治家たちを正しい道に立ち返らせ、対話と合意の新しい可能性を開きつつ、調和という基本的な恵みを神からいただくことができるよう平和の元后マリアに祈りながら、世界中のすべての信者たちにも聖地と中東全域における平和を願う特別な祈りを呼びかけられた。
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