教皇ベネディクト16世は、30日、ローマ郊外カステルガンドルフォの離宮で行われた日曜正午の祈りの集いで、中東平和に向けて次のような再び強いアピールを発せられた。
「今、中東が置かれている常に重大さと悲劇を増す状況を考えないわけにはいきません。何百という犠牲者、非常に多くの負傷者、家を失った人たちと避難する膨大な数の人々、破壊された家々や町、公共施設、と被害が広がる一方で、多くの人々の心には憎しみと復讐の欲望が育っているように見えます。
これらのことは、暴力という手段に頼る時、正義を回復し、新しい秩序を作り出し、真の平和を築くことはできないということを、明らかに示しています。
今、教会の声がいかに預言的で現実的であるかがよりいっそうわかります。教会はあらゆる形の戦争や闘争に対し、真理と正義、愛と自由の道を示します。(福者教皇ヨハネ23世回勅『地上に平和を』)人類は今日においても希求される善と正真の平和を獲得するためにこの道を進まなければなりません。
神の名において、この暴力の連鎖に関わるすべての責任者に向けて訴えます。直ちにすべての側の武器をおさめてください。統治者たちと国際機関にお願いします。敵対の停止を得るため、そして、対話を通し中東のすべての人々の持続可能な安定した共存を構築し始めることができるように、あらゆる努力を惜しまないでください。
善意の人々にお願いします。試練にあい必要なものに困っている人々に人道的支援を続け、その業を強めてください。そして、何よりも、神が中東地域と世界全体にご自身の平和を賜るよう、一人ひとりの心から優しく慈しみ深い神への信頼に満ちた祈りを上げてください。」
教皇のアピールに、会場を埋めた巡礼者たちから「平和、平和」と一斉コールが沸き起こり、教皇は人々の声にうなずきながら「そうです、平和です」と確固と答えられた。
教皇は、平和の君の母、平和の元后であり、中東の国々でも崇敬されている聖母マリアに、主イエスがそのために御血を捧げられた和解がこれらの地域を統治する日が早く来るようにと祈られた。
29日夕にカステルガンドルフォ入りされた教皇にとって、この日の集いは同地での最初の公式行事となった。
教皇は9月のドイツ・バイエルン地方司牧訪問の期間を除いて、夏の終わりまでカステルガンドルフォに滞在することを告げられると共に、アルバーノ司教をはじめとする教会関係者、市長ら地元行政関係者、離宮職員や警察、そして大勢の巡礼者に親愛のこもった挨拶をおくられた。
最後に、教会の典礼暦で翌31日がイエズス会創立者、聖イグナチオ・ロヨラを、また8月1日にレデンプトール会創立者、聖アルフォンソ・マリア・デ・リゴーリ、4日には主任司祭の保護者、アルスの司祭聖ヨハネ・マリア・ヴィアンネーを記念することを思い起こされながら、教皇はこれらの聖人が私たちの聖性への道のりを助けてくれるようにと祈られた。
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