教皇ベネディクト16世は、バチカンで15日、水曜恒例の一般謁見を行なわれた。
謁見中のカテケーシス(教会の教えの解説)で、教皇は使徒聖パウロとその思想についての3回目の考察を行われた。
使徒としての活動のみならず、その神学の教えにおいても「巨人」といえるパウロの考察にあたり、信仰生活の中心であるイエス・キリストについての彼の教えをテーマにした前回に続き、今回は彼の聖霊についての教えをテーマに話された。
使徒言行録に記される聖霊降臨後の使徒たちの熱心な活動が表すように、宣教を促す強い原動力としての聖霊の働きを教皇は示す一方、聖パウロが聖霊をキリスト者の行動だけでなく、存在そのものに影響を与えるものとして考えていることを指摘された。
実際、パウロは自分たちの中に「神の霊が宿っている」(ローマ 8,9; 1コリント 3,16)、「神が御子の霊をわたしたちの心に送ってくださった」(ガラテア 4,6)と言っているように、聖霊は人の最も深いところにまで影響を及ぼし、人に神の子としての尊厳を与えるものというパウロの考えに注目された。
また教皇は、パウロが聖霊を単なる「神の霊」「聖なる霊」ではなく、ご自身が「命を与える霊」(1コリント 15, 45)となられた復活の主から分け与えられるものとして、「キリストの霊」(ローマ 8,9)、「御子の霊」(ガラテア 4,6)と呼んでいることを重要な点とされた。
そして、「“霊”は弱いわたしたちを助けてくださいます。わたしたちはどう祈るべきか知りませんが、“霊”自らが、言葉に表せないうめきをもって執り成してくださるからです」(ローマ8,26)等の言葉をもって、自分たちの中に聖霊がおられなければ真の祈りはありえないと説き、「霊の結ぶ実は愛、喜び、平和...」(ガラテア 5,22)と、愛をはじめ、喜び、交わり、希望といった大きな価値に人生を導く聖霊の働きを示したパウロの教えを紹介された。
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