教皇ベネディクト16世は、14日、ギリシャ正教会の最高指導者で、アテネおよびギリシャ全土の大主教、クリストドロス大主教とお会いになった。
前教皇ヨハネ・パウロ2世は、2001年5月の使徒聖パウロの足跡をたどるギリシャ巡礼でクリストドロス大主教と会見され、その際、大主教をローマに招待されていた。これまで、様々な機会にギリシャ正教会の使節がバチカンを訪れることはあったが、大主教自身の訪問は初めてのこと。
クリストドロス大主教をバチカン宮殿の書斎の入り口で出迎えられた教皇は、大主教と兄弟的抱擁を交わし、長い握手と共に深い喜びを表された。
教皇は、カトリック教会とギリシャ正教会が徐々に絆を取り戻しつつある今日、真の関係を目指しつつ、ヨーロッパのキリスト教的根源を守るために共に文化的貢献をしていきたいと抱負を述べ、大主教も欧州に広がる非キリスト教化的風潮に憂慮を示した。
そして、感動に満ちた会見の後、教皇と大主教は、多くの困難や過去の痛ましい経験を愛のうちに乗り越え、キリスト者の完全な一致を目指し、真理におけるけわしい対話の道を共に進んでいくことを共通の課題として示す共同宣言に署名した。この宣言は、建設的な神学対話、また諸宗教との対話の強化、平和や人権の推進などを具体的な目標として掲げ、人類への奉仕と、信仰と希望の証しのために、社会の発展に共に前向きな協力をしていく旨を強調している。
クリストドロス大主教は、この日の朝、聖ペトロ大聖堂地下の教皇ヨハネ・パウロ2世の墓前にランプの火を捧げたほか、同じく地下のパウロ6世の墓や、聖堂本廊脇のヨハネ23世の墓前でも祈りの時を持った。
さらに、夕方からはローマのサン・パウロ・フォーリ・レ・ムーラ大聖堂の祈りの儀式に参加し、その中で、使徒聖パウロが繋がれていたとされる鎖の一部を託された。
ギリシャの教会は、使徒言行録によって、聖パウロを創立者としている。教皇ヨハネ・パウロ2世の先のギリシャ訪問の際、クリストドロス大主教は聖パウロの何らかの聖遺物を希望し、教皇は聖パウロの鎖の一部をローマで渡したいと約束された。大主教の訪問で今回その寄贈がようやく実現することになった。
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