教皇ベネディクト16世は、バチカンで18日、日曜正午のアンジェラスの祈りを信者と共に唱えられた。
集いの説教で教皇は、この日の福音朗読箇所で読まれた「あなたがたの敵を愛しなさい」(ルカ 6,27)というイエスの言葉を取り上げられた。
イエスの公生活の始め頃、有名な「真福八端」に続く形で説かれたこの教えを、教皇は、イエスが彼の生き方を急進的な言葉で皆に示した「マニフェスト」ともいえるものと述べられた。
なぜイエスは「敵を愛する」という人間の能力を超える愛を要求するのかという疑問に対し、世界はあまりに多くの暴力や不正義に満ちているゆえに、より大きい愛と善意を対抗させることなしにはこの状況を乗り越えることはできないという意味で、イエスの提案はむしろ現実的であると教皇は話された。
そして、このより大きい愛とは神の慈しみであり、それをもってのみ世界を悪から善へと向かわせることができると述べ、人間の心という小さくも重要な世界からそれをはじめる必要を指摘された。
キリスト教の非暴力の大憲章と見なされているこの教えは、悪に屈するのではなく、悪にに善をもって返すことで、不正義の鎖を断ち切ることを意味していること、キリスト教の非暴力は方策的な振る舞いでなく、神の愛と力を信じる人の人間としてのあり方であることを教皇は強調された。
集いの後半、教皇はゼネストや暴力によって混乱した状況にあるギニア共和国に、人権と市民の権利の尊重を願い、危機を打開するための対話を祈られた。
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