教皇ベネディクト16世の使徒的勧告「サクラメントゥム・カリターティス」が、13日、発表された。
同文書はベネディクト16世の初めての使徒的勧告で、2005年10月に開催された聖体をテーマとしたシノドス「世界代表司教会議第11回通常総会」の成果を受け、教皇がシノドス後の指針として提示されたもの。
「サクラメントゥム・カリターティス(愛の秘跡)」−いのちと教会の使命の源泉・頂点である聖体について−と題されたこの勧告は、序章および3つの章、全97節からなり、「愛の秘跡である至聖なる聖体は、イエス・キリストがご自身を贈り物とされることで、神の無限の愛をすべての人に啓示するものです」という言葉で始まる。
この文書で教皇は、聖体を「信ずる神秘」「祝う神秘」「生きる神秘」の3点から捉えつつ、聖体を教会の活力の中心として新たに見出していくための様々な提言をされている。
聖体の秘跡においてイエスは「何かあるもの」ではなく「ご自身」をお与えになるということ、それによって私たちは「神と親しさを共にする」ということを教皇は強調されると共に、聖体の秘跡がキリストと教会の不可分性に対する認識を強めるものであることを改めて指摘されている。
司牧面においては、初聖体を当人だけでなく家族にとっても大切な時とするよう、また聖体礼拝や頻繁な告解という習慣を再発見するよう勧める一方、結婚の秘跡を受けた後、離縁し再婚しているカップルは聖体の秘跡に与れないが、司祭はその複雑で痛ましい問題に愛をもって対応し、当事者らが教会の活動等を通してキリスト者としての生き方を模索し続けることができるような精神的助けを願われている。
また、聖体と司祭職の深い結びつきに触れた教皇は、有効なミサを捧げるために司祭叙階は不可欠な条件であることを確認する傍ら、ミサ典礼の主役はイエス・キリストであって司祭ではないことを思い出させている。
さらに教皇は典礼を美しく保つように説かれ、それは審美的な理由からではなく、キリストにおける神の愛の真理が私たちに伝わり理解されるためであると述べている。その際、典礼のきまりに忠実に従い、ミサの進行上に行なう簡素な動作を大切にするよう勧められているほか、典礼の意味を尊重しないような音楽を避けること、適切な形でグレゴリアン聖歌が活かされることを望まれている。
このほか、説教の質を向上させる、みことばに注意をもたらす、平和の挨拶の深い意味を知る、さらに服役者、病者、体が不自由な人々を留意する、洗礼と堅信を受けた精神障害者の聖体拝領を可能なかぎり保証する、国際的な機会には朗読・説教・信徒の祈りを除く部分に教会の一致と普遍性を表すラテン語の導入を考慮するなど、多くの指針を与えられている。
最後に、教皇は聖体の秘跡を正しく理解し記念するための「要綱」を関係省の監修のもと作成する意向を明らかにされた。
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