教皇ベネディクト16世は、バチカンで21日、水曜恒例の一般謁見を行なわれた。
連日平均気温を大きく上回っていたローマは、前日から厳しい寒気と悪天候に見舞われたが、聖ペトロ広場で一般謁見が行なわれたこの日の午前中は幸いにも青空がのぞいた。
謁見中のカテケーシス(教会の教えの解説)で、教皇は揺籃期の教会の教父たちの考察として、2世紀の最も重要な護教論者、聖ユスチノ殉教者を取り上げられた。
キリスト教哲学者の聖ユスチノは、100年頃、サマリアのシケムに生まれた。青年時代から真理の追求に熱心であった彼は長い間ギリシャ哲学の諸派を巡った後、祈りと預言者の研究を勧める一人の老人との出会いによって、キリスト教に改宗した。
ユスチノはローマで学校を開き、キリスト教を教え広めた。マルクス・アウレリウス帝のキリスト教迫害のもと訴えられた彼は、165年頃に斬首され殉教した。
このように聖ユスチノの生涯を紹介された教皇は、わずかに現存する彼の著書として2つの護教論と「ヘブライ人トリフォネとの対話」を挙げられ、これらの中で彼は、ロゴス、すなわち永遠のみことば、永遠の理性であるイエスの中に成就された神の創造と救いのご計画を強調していると説明された。
そして、すべての人間はロゴスを分け持ち、自身の中にその「種子」を持っている、ロゴスはキリスト誕生以前にも人々に神と人間についての真理の一部を知らせていたが、完全な真理は神のみことばの受肉をもってはじめてキリスト者に与えられたという、彼の教えを解説された。
教皇は、相対主義に影響された現代、聖ユスチノを導いた老人が勧めたように、光の扉が開かれているよう祈り、また私たちの思想・宗教間の対話が、時の流行にすぎないものを避け、真理に固く根ざしたものとなるようにと信者らに願われた。
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