教皇ベネディクト16世は、28日、水曜恒例の一般謁見を行なわれた。
バチカンの聖ペトロ広場で行なわれたこの謁見には、世界各国からおよそ2万人が参加した。
教皇によるカテケーシス(教会の教えの解説)では、初期のキリスト教会の教父たちの考察として、リヨンの聖イレネオ司教殉教者が取り上げられた。
聖イレネオは135年〜140年頃、スミルナ(現在のトルコ・イズミール)に生まれた。青年期に使徒ヨハネの弟子であったポリカルポ司教のもとで学んだ彼は、後ガリアに渡り、リヨンで活動、177年には同地のキリスト教共同体の司祭として記録されている。同年、彼は共同体の使節としてローマに行き、教皇聖エレウテリオに手紙を届けている。
当時マルクス・アウレリウス帝によって厳しいキリスト教迫害が行なわれ、リヨンでも獄死した司教ポティノをはじめ48人の殉教者を出したが、旅行中だったイレネオは迫害を免れることになった。ローマから戻った後、イレネオは新しい司教として選ばれ、202〜203年頃に殉教するまで司教職のためにすべてを捧げた。
教皇はこのように聖イレネオを紹介、信仰の人、穏健で、豊かな教えにあふれ、熱い宣教心を持った偉大な司牧者、信仰の真理の擁護者、異端、特に当時のグノーシスに対する優れた反論者としてのその生涯を振り返られた。
イレネオの説く福音は、スミルネのポリカルポ司教から使徒ヨハネそしてイエスに遡るものであり、異端が唱えるように知識人だけに明かされる真理はなく、教会が公に信じる教えはすべての人々に共通のものであると強調するその教えを教皇は示された。
教皇は、イレネオが使徒的伝承を1) 私的や秘密的なものでない「公的」なもの、2)異端者のように諸派に分裂するのでなく「唯一」で普遍のもの、3)「聖霊」に導かれるものと定義していたことを解説され、イレネオの説くように、今日においても教会が常に聖霊によって新しく生かされ、真の信仰を生き生きと伝えていくことができるようにと願われた。
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