主の復活の大祝日を迎えた8日、教皇ベネディクト16世はバチカンでミサを捧げられ、復活祭のメッセージと祝福をおくられた。
前日深夜には、聖ペトロ大聖堂で復活徹夜祭が荘厳にとり行なわれ、教皇はこの中で日本人2名をはじめ成人6人と子ども2人に洗礼を授けられた。
一夜明けた復活の日曜日、ローマは春らしい暖かな日和となり、バチカン周辺は朝から世界各国からの巡礼者であふれた。
聖ペトロ大聖堂前には、今年もオランダから寄贈された花で春の庭園が設けられた。バチカンの国旗色をイメージした白と黄をベースとした花壇には、オランダの国旗を思わせるオレンジ色のつつじをはじめ、桜やチューリップなどの季節の色が美しく並んだ。
広場におけるミサの後、教皇は大聖堂の中央バルコニーから復活祭のメッセージを告げられた。
教皇は、使徒トマスのイエスの復活に対する懐疑と、復活の主との出会いによる信仰の再発見を今年のメッセージの中心とされた。
復活の主が最初に弟子たちに現われた時にその場に居合わせなかったトマスはそれを信じなかったが、8日後再び現われたイエスに「あなたの指をここに当ててわたしの手を見なさい。あなたの手を伸ばしわたしのわき腹に入れなさい」と言われ、「わたしの主、わたしの神よ」と答えたトマスの信仰告白は、今日の私たちのものでもあると教皇は指摘。
すべての人間の苦しみを示すイエスの傷に接することで、トマスが信仰を取り戻したように、苦しみや、悪、不正義、死などを前に信仰の試練を受ける現代人もまた、神の真のみ顔、人類の苦しみを背負ったイエスのみ顔を見つめることで信仰を再び強めることができるようにと祈られた。
自然災害、飢餓、疾病、テロリズム、誘拐、様々な暴力に苦しむ世界の様相に触れる中で教皇は、スーダン・ダルフール地方をはじめ人道的危機に苦しむアフリカ諸国や、和解と平和を必要とする東ティモールやスリランカ、流血の闘争が続くアフガニスタンやイラク、政情不安を抱えたレバノンなどの状況に言及された。
そして、教皇は復活のキリストの傷を通して人類の苦しみを希望の目で見つめ、平和の使徒として苦しみを恐れない喜び、復活の喜びを告げる者となろうと呼びかけられた。
最後に、教皇は日本語を含む各国の言葉で復活祭の挨拶を述べられ、ローマと世界に向けて教皇祝福をおくられた。
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