教皇ベネディクト16世は、6日、イエスの受難を記念する聖金曜日の伝統行事をとり行われた。
夕方よりバチカンの聖ペトロ大聖堂で教皇によって行なわれた「主の受難の儀式」で、参加者はキリストの十字架上の死を深く観想し、十字架を崇敬した。
教皇付説教師ラニエーレ・カンタラメッサ神父は儀式中の説教で、聖母マリアをはじめ、キリストの十字架のもとに留まった愛と勇気と信仰にあふれる女性たちに注目し、人々と苦しみを共にし、復活の希望のメッセージを告げる彼女らの存在を、現代の世界は必要としていると述べた。
夜からはローマ市内のコロッセオにおいて、教皇による十字架の道行きが行なわれた。ローマの町のシンボルの一つであるコロッセオは、ローマ時代の迫害の中で殉教した多くのキリスト信者を思い起こす場所である。
古代劇場の中央には大きな十字架が炎に照らされてそびえ、そのコロッセオをさらに幾重にも人々の手にするろうそくの光が取り巻いた。
十字架の道行きは、イエスが死刑の宣告を受けてから、十字架上で最後を遂げ墓に葬られるまでの過程を14の場面(留)に分けて黙想する信心業。黙想を助けるためのテキストは、今年はミラノのアンブロジアーナ図書館館長で聖書学者のジャンフランコ・ラヴァージ師によって準備された。
教皇は諸大陸を代表する人々と共に祈りながら各留を歩まれ、第1留と第14留には自ら十字架を掲げられた。
道行き終了後の説教で、イエスの受難の道を共にたどることは、世界のすべての苦しむ人たちに出会うことであると述べた教皇は、「十字架の道行きの祈りとは、私たちの心を開き、心の目を持って見つめること」、「キリスト者になるということは、『石の心』ではなく、人々の苦しみを感じることのできる『肉の心』を受け取ること」と説かれた。
「神は届きがたい遠い方ではありません。私たちと苦しみを共にされるために人となられた神は、肉の心を持っておられます」と教皇は話され、神が私たちにも真の心を与え、苦しむ人々への愛を目覚ましてくださるようにと祈られた。
教皇は7日から8日にかけての深夜にバチカンの聖ペトロ大聖堂で復活徹夜祭を、そして復活祭当日の8日午前に聖ペトロ広場で復活の主日の日中のミサを司式され、ミサの後にローマと世界に向けてメッセージと祝福(ウルビ・エト・オルビ)をおくられる。
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