公開枢機卿会議 
新枢機卿叙任式・ 説教(抄訳) 
(2006.3.24)

   

 親愛なる兄弟姉妹の皆さん

 主のお告げの大祝日を明日に控えて、四旬節の悔悛の雰囲気に喜びの気分が加わります。そうです、今日、カトリック教会の枢機卿団に15人の新枢機卿が加わるのです。

 特に今日、枢機卿になられる親愛なる兄弟の皆さんに私の心からの挨拶をおくります。また、列席の枢機卿方、大司教、司教、司祭そして修道者や信者の皆さん、特に新枢機卿たちをキリスト教的喜びと祈りをもってお祝いするために集まった家族や友人の方々にも心からの挨拶をおくります。さらに、各国政府や国際機関を代表する方々にも特別な感謝を申し上げます。

 教会の長い歴史の中で枢機卿団に関しても多くのことが変わってきました。しかし、その本質は少しも変化してはいません。カトリック教会の枢機卿団の起源は古く、教会内のいわゆる「元老院的」な存在です。枢機卿たちはそこで聖ペトロの後継者ローマ教皇と固く結ばれ、全教会への奉仕というその使徒的使命の遂行において最も近い協力者となります。

 この儀式において少し前に朗読された神の御言葉(マルコ10、32−45)は、私たちの目を過去に向けさせます。聖マルコ福音書記者は教会の創設時のこと、特に聖ペトロの職務の起源について語っています。私たちは、今、栄光と賛美を捧げている主イエスを心の目で仰ぎ見ました。主キリストは、大聖グレゴリオ教皇が大変愛したローマ教皇に関する定義「神のしもべたちのしもべ」という言葉を私たちにも思い起こさせます。事実、イエスは使徒たちに、彼らに与えられた権威はこの世の権威者たちのそれとはまったく異なる方法で行使されるべきであることを説明しながら、権威の行使を「奉仕」という観点から要約します。

 主は言われます。「あなたたちの中で偉くなりたい者は、かえって皆のしもべ(ディアコノス)となり、また、あなたたちの中で頭になりたいものは、皆の奴隷(ここでイエスはドゥーロスという最も強い意味の用語を使っています)となりなさい」(マルコ10、43−44)。隣人に対する完全で寛大な奉仕の精神こそ、教会の中で権威を与えられた者たちの持つべき心構えです。神の御子もこのように振舞われました。神の御子は「仕えられるためではなく仕えるため、多くの人の贖いとして、自分の生命を与えるために来られたのです」(マルコ10、45)。使徒聖パウロはこのことをフィリピの教会に宛てた手紙の中で見事に表現しています。「キリストは神であったにもかかわらず、神としてのあり方に固執しようとはせず、かえって自分をむなしくして、しもべの身となった」(フィリピ2,6−7)。

 ですから、第一の神のしもべたちのしもべはイエスご自身です。キリストの後に従いキリストと一致した者たちとして使徒たちがいます。その中でも特に聖ペトロは、主がその群れ、教会を導く使命を授けた者でした。教皇の使命は皆のしもべとなることです。このことは、今日の儀式の第一朗読、聖ペトロの第一の手紙にある教会指導者たちに与えた訓戒からも明らかです。それは聖ペトロが善き牧者であるキリストの苦難の証人であることに由来する、権威による訓戒です。確かに聖ペトロのこの言葉は、神の群れに対する奉仕の彼の個人的体験から来る言葉であるのが感じとられますが、それ以上にイエスご自身の行いを直接体験したことに土台を置く言葉です。自分自身を犠牲にするまで人々に奉仕し、十字架の死に至るまでへりくだられ、御父にのみ信頼したイエスは、その時が至ると御父によって栄光の高みに高揚されました。

 使徒聖パウロがそのフィリピの信徒への手紙の中で「わたしはキリスト・イエスに捕らえられたのです」(フィリピ3、12)と告白しているように、聖ペトロも聖パウロのように内部からキリストに「捕らえられた者」です。そして、これもまた聖パウロのように完全な権威をもって「もう自分自身が生きているのではなく、キリストが自分のうちで生きている」と教会指導者たちに言いきり、励ますことができたのです。

 そうです、親愛なる兄弟の皆さん、聖ペトロが言うことはすべて、特に枢機卿に任命されるあなた方に当てはまる言葉です。枢機卿になられたばかり兄弟の皆さん、あなた方は十字架上で死にそして復活された主の後に従うために、この言葉の中に何回黙想の材料を見出したことでしょう。皆さんは聖ペトロの後継者教皇に協力し、教会への特別な奉仕のために招かれています。これはとりもなおさずキリストの受難と十字架の神秘への深い参与をも意味します。私たちは皆今日、世界の中で、教会の中で、キリストの苦難の証人となるのです。そして、こうして初めてキリストの栄光にも参与する者となるのです。これは皆さんに多くの恵みをもたらし、また、皆さんもこれによって周りの人々に多くの善をもたらすことができるでしょう。

 尊敬すべき親愛なる兄弟の皆さん、あなた方のこの新しい召命の意義をわたしの最初の回勅の中心に置いた「愛」という言葉で要約したいと思います。愛という言葉は枢機卿の衣の色によく合致します。皆さんが身に着ける緋色の衣がいつもキリストの愛を表すものであるよう心から願います。今、皆さんには、人となられた神の御子が全人類の罪の贖いのためにその血を流されるまで心を動かしていた同じ思いを持ち続けるさらなる理由があるのです。

 私はこの願いをナザレのおとめマリアに託します。神の御子は彼女から血を受け、愛の最高の証しとして十字架上でそれを最後の一滴まで流しつくされました。私たちがますますキリストに似た者となり、教会の建設とキリストの福音の宣教にうむことなく専念することができるよう、聖母マリアの取次ぎによって、新枢機卿と私たちすべての上に真理と愛の霊が豊かに注がれますように。


vatican radio

strumenti di navigazione links & sourcesprofessional servicewho we arethe Pope's voicebroadcasts on demandlive broadcasts

 

 

 

 



















 

 

 

 

 







 


 



 

 

trasmissioni in direttatrasmissioni on demandlink e fontilink e fontichi siamola voce del papa