イスラム国大使らへの挨拶
(2006.9.25)

   

 教皇庁と世界のイスラム共同体との友好と連帯の関係を強めるために私が望んだこの会見で、皆さんとお会いできるのをうれしく思います。さきほど挨拶されたポール・プパール枢機卿、そして私の招きに応えてくださったすべての方々に感謝いたします。

 私たちのこの出会いが行なわれるに至った状況についてはご存知のとおりです。そして、すでにこの一週間、私はこれについて話をする機会を得ました。この特別な状況において、今日私はイスラムの人々に対して抱く大きな尊敬と深い尊重を改めて表したいと思います。そして、第2バチカン公会議が明言する、イスラム教徒との対話における憲章ともいえる次の言葉を思い出したいと思います。「教会はイスラム教徒をも尊重する。かれらは唯一の神、すなわち、自存する生きた神、あわれみ深い全能の神、天地の創造主、人々に話しかけた神を礼拝している。また、イスラム教の信仰がすすんで頼りとしているアブラハムが神に従ったのと同じように、神の隠れた意志にも全力を尽くして従おうと努力している」(キリスト教以外の諸宗教に対する教会の態度についての宣言 n.3)。

 これが示すことに完全に同意しつつ、私は教皇職の最初から、特にイスラム教徒とキリスト教徒の対話の成長を評価すると共に、すべての諸宗教の信者との友情の橋を強化し続けることを切望しました。昨年私がケルンで強調したように、「キリスト教徒とイスラム教徒の宗教・文化間の対話は、一時的なものになってはいけません。それは、まさに本質的な必要であり、それは私たちの将来に大きく関わってくることです。」

 理性の総体から超越性というものがかなり排除されがちな、相対主義に影響された世界において、私たちには宗教間および文化間の真の対話、実りある協調の精神のうちに、すべての緊張を共に乗り越えさせるだけの対話が必要です。

 私の前任者教皇ヨハネ・パウロ2世の始めた仕事を受け継ぐ中で、私はここ数年築かれたキリスト教徒とイスラム教徒の信頼に基づく関係がただ継続するだけなく、誠実で尊重に満ちた対話の精神の中に発展することを心から願っています。その対話とは、喜びをもって共通の宗教的価値を認め、誠実さをもって行動し、違いを尊重する、相互理解の上に成り立つ対話です。

 宗教間・文化間の対話は、すべての善意の人々が熱心に願う平和と兄弟愛に満ちた世界を共に構築する必要性を形成します。この分野において、同時代の人々は私たちから、人間存在の価値を宗教的側面から示すことのできる雄弁な証しを期待しています。

 したがって、すでにいろいろな共通の経験があるように、あらゆる形の不寛容を取り除き、暴力に訴える行動に反対するために、それぞれの宗教的伝統の教えに忠実に、キリスト教徒とイスラム教徒が共に協力することを学ぶことが必要です。同様に、私たち宗教指導者や政治責任者がこのように行動することを導き励ますこともまた必要です。

 実際、公会議も次のように述べています。「諸世紀にわたる時代の流れにおいて、キリスト教徒とイスラム教徒の間に少なからざる不和と敵意が生じたが、聖なる教会会議は、すべての人に過ぎ去ったことを忘れ、互いに理解し合うよう、まじめに努力し、また社会正義、道徳的善、さらに平和と自由を、すべての人のために共同で守り、促進するよう勧告する」(同上、n.3)

 過去の教えは、和解の道を見つけるために私たちを助けてくれるはずです。なぜなら、各自のアイデンティティーと自由の尊重のうちに、私たちは人類全体に奉仕するための実り豊かな協力を生み出すからです。

 それは、教皇ヨハネ・パウロ2世が、モロッコのカサブランカにおいて、若者たちへの忘れがたい挨拶の中でこのように言われたとおりです。「尊重と対話はあらゆる分野で、相互性を要求します。特に基本的自由、中でも宗教の自由に関してはそうです。これらは民族間の平和と相互理解を助けるものです」。

 親愛なる友人の皆さん、私は、今日の世界がおかれた状況において、人類が直面する数多い挑戦、特に人間の尊厳と、そこから生じる権利の保護と推進に、キリスト教徒とイスラム教徒が共に取り組むことが急務であると深く確信しています。

 人類と平和への脅威が増す一方で、人間のいのちが常に尊重されるように、人間の中心性を訴え、疲れを知ることなく働きながら、キリスト教徒とイスラム教徒は、ご自分が与えた尊厳をすべての人間が生きることができるようにと望まれる創造主への従順を示します。

 親愛なる友人の皆さん、慈しみ深い神が、私たちの相互の、そして常により正真の理解に向けての歩みを導いてくださるよう、心から願います。イスラム教の人々が、精神的巡礼であるラマダンの月を始めるにあたり、全能の神が彼らに平安と平穏を与えられるよう、すべての人々に心からお祈り申し上げます。平和の神が皆さんと皆さんの共同体を豊かな祝福で満たしてくださいますように。

 

 

 

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